2008年12月31日水曜日

学生企画5(第2ターン)

こんにちは、学生インターンのいけだです。
学生企画、二周目に入りました!間が空いてしまいましたが、安達君に続いてお送りしたいと思います。

前回は、自衛隊の海外派遣問題に対する疑問から、派遣全般を法的に規定する「一般法」を巡って行われてきた、議論の推移を整理しました。
今回は議論の中身に移る、はずだったのですが・・

すみません、一時テーマを変えます!
派遣は派遣でも「派遣労働者」に関わる話—いわゆる「派遣切り」を含めた問題を扱いたいと思います。

これには理由があります。
12月29日よりネット上の議論空間『ミニ・ポピュラス』(http://www.genron-npo.net/opinion/news.html)が本格的に始動しました。
(『ミニ・ポピュラス』の詳細については、次の機会にでも書きます!)
現在そこで議論の中心になっている「非正規労働者の大量解雇」問題—特に政治による対応状況—について、
自分はどこまで知っているの?何を考えているの?
をはっきりさせたいと思った次第です。
ひとつのアプローチとして、今回は雇用対策をめぐる与野党の攻防に注目したいと思います。

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先日、民主・社民・国民新党が共同で提出した雇用関係4法案が衆院本会議で否決されました。

まず目につくのが、提出から廃案に至るまでのスピードです。
15日に提出された4法案はまず、野党が多数を占める参院の厚生労働委員会で審議されました。
しかし、審議に費やされた時間は僅か1日。反対する与党議員の怒号の中、強行採決によって法案は可決され、翌日の本会議で参院の通過が決まりました。

なぜ、提出を主導した民主党は4法案の審議を急いだのか。
背景には、政府・与党が年内に思い切った雇用対策を打てないという状況があります。
 
 ・雇用対策を盛り込んだ第二次補正予算案。
 ・非正規労働者への雇用保険の適用基準を緩和する、改正雇用保険法案。

これらの法案・予算案の提出が、来年1月の通常国会に予定されているからです。
解雇された派遣労働者への社宅提供を厚労省が支援したり、厚労相が経団連に雇用確保を直接要請したりするなど、
政府・与党も対策をとっていないわけではありませんが、どうしても動きは限られます。

来春までに8万5千人以上の非正規労働者が職を解かれるという、衝撃的な報道を目にした方は多いと思います。

この危機的な状況下、4法案の提出と参院での強行採決は、「やる気のない自民党」と「本気の民主党」を象徴しているのでしょうか。
与党の動きの鈍さは事実であるものの、民主党の「本気度」には疑問が残ります。
法案の衆院通過の可能性はゼロに近く、万が一の望みにかけるためには綿密な与野党間の調整が必要でした。

にもかかわらず、審議時間を削り、強行採決までして法案の参院通過を急いだ理由は何なのか。
雇用対策を一刻も早く進めることよりも、与党の失態を捕らえて自身のイメージを向上させることが念頭にあったのではないか。
上記のような審議過程の空疎さを考えると、意見調整のためとして民主党が自民党に呼びかけた党首会談も、単なるアピールに見えてきます。

日経新聞の社説によれば、失業保険の受給要件緩和など、与野党の対策案には共通点も少なからずあるそうです。
しかしこの与野党の対立の中で、「意見の一致を見る部分だけでもできるだけ速やかに対策を進めよう」という動きはついに見られませんでした。
参院小委員会での採決時、会議室でもみ合う両党議員の写真には、脱力感を覚えます。