2009年1月31日土曜日

【学生ディスカッション②】宇都宮大学

※企画詳細については以前の投稿『【新企画!】学生ディスカッション』をご覧ください。

「学生ディスカッション」第二弾は、宇都宮大学からお届けします。
卒業・就職を間近に控える女子大生3名が、日本の政治の現状に対するもどかしさを語りました。
以下は議論の要旨です。

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1.日本の政治は機能不全である。


・リーダーシップを発揮できる政治家がいない。
発揮しようとするとツブされる構造が政治の世界に出来上がっているため、状況が変わらな い。(Aさん、Bさん、Cさん)
・構造を打ち破れるだけの勇気(Aさん、Bさん)やカリスマ性(Cさん)を持
った政治家が現れなくては。
・国会論戦でも、首相の漢字間違いなどの枝葉末節に貴重な時間が使われており、
腹立たしい。(Cさん)

2.「わかりにくい」から市民は動けない

・投票するといっても、どういう基準でどの候補者を選べばいいかわからない。(Cさん)
・はっきりいって対岸の火事で、興味がわかないし、話をされてもよくわからな
い。(Bさん、Cさん)
・市民として、しっかり判断をくだせる教育を受けた記憶はない。(Aさん)

3.もっと素朴に考えたい

・増税が本当に必要なら反対しない。でも、納得のいく説明がほしい(Aさん、Bさん、Cさん)
・当事者の立場にたつべき。政治家が選挙に勝ちたいのは当然だし、サラリーマ
ンが賃下げがいやなのも当たり前である。ただ批判するだけでは、何も解決しな
いのではないか。

(了)

【学生ディスカッション①】東京大学駒場キャンパス

※企画詳細については以前の投稿『【新企画!】学生ディスカッション』をご覧ください。

「学生ディスカッション」第一弾の舞台は、東京大学駒場キャンパスです!
対照的な哲学を持つ1年生(Tさん)と4年生(0さん)が、がっぷり四つの議論を行いました。
以下は議論の要旨です。

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1.民主主義における市民の役割。

Oさん:市民が自己利益を越えた「公共」の利益を考えるべき。また、これが民
主主義。
Tさん:自己利益の確保・拡大に、人は根本的にに方向づけられている。公共利
益の追求を民主主義の出発点に置く必要性は、民主主義の歴史的系譜をみても薄
い。

<市場で生まれた富をいかに分配するか>
Oさん:公平性・効率性の観点から、一定の国家の介入は必要。
Tさん:その種の介入は有効に機能しえないのみならず、社会の他の部分に歪を
生む。パイの拡大による全体の底上げの方が結局は公正。

2.自由競争の重視は間違っていたのか。

Oさん:
世界的な潮流だった規制緩和の行き過ぎを見直す時期。
1.資本主義の健全な発展 2.人間のための経済という大原則 という2者に、
過度の自由化がマイナスの影響を及ぼしたのではないか。
Tさん:
自由化とグローバル化の流れが途上国の発展に資した事は、歴史が証明している。
中国とアフリカの明暗を分けたのは、グローバリズムにどこまで自国市場を委ね
るかという判断だった。

3.日本における政治の機能不全をどう見るか。

Oさん:
今の日本の政治には、リーダーシップも党派間の協働も見いだせない。
また、政治家の発言に明らかな「国民はお客様」という姿勢は、
「われわれ」が各々の責任を果たして難局を切り抜けよう、というオバマ大統領
の呼びかけと好対照をなしている。
有権者が当事者意識を持つことが、政治の変革のために必要だ。

Tさん:
日本の政治は投票という「民主主義的」制度を介して、利益団体の面倒を見るこ
とと引き換えにその体制を維持してきた。
これを根本的に変えようとすると混乱を招くのみ。少なくとも、短期的には過度
の期待をすべきでない。

(了)

【新企画!】学生ディスカッション

こんにちは!

表題のとおり学生インターン企画、新シリーズの登場です。
舞台は事務所の外。全国津々浦々・・とはいきませんが、様々な大学のキャンパスで

学生によるディスカッション

を開催していきます。

1.何を・どうやって議論するの?

言論NPOの方で用意した資料・質問を端緒に、私たちが直面する問題を語ります。
コーディネーターを務めるのは学生インターン。現在の議論材料は、

  1. オバマ大統領の就任演説  (下で小澤さんが紹介しています!)
  2. 雇用問題に関する労使「共同宣言」

の2つです。

2.何で議論するの?

「知らなきゃ、語れない」
その一方で
「語らなきゃ、知るべきことがわからない」

とにかくこのジレンマから抜け出したい、という学生は、私自身を含め少なくない、と感じます。
言論NPOには、「知る」のためのリソースが豊富に蓄えられています。
「語ること」と「知ること」のサイクルを作る場を、この企画が作っていきます。

また、日本の政治に緊張感をもたらすのは、こうした「語る」人たちの存在ではないでしょうか。

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動き始めたばかりの企画です。単発のディスカッションで終わらせないために、

・インカレ合同議論会
・議論を受けての勉強・解説会

などの計画も進行中です。

まずは、
・東京大学駒場キャンパス
・宇都宮大学
で行われた議論をご紹介していきます。お楽しみに!

2009年1月28日水曜日

オバマは世界を幸せにできるか~就任演説を聞いてあなたはどう思いましたか~

こんばんは!言論NPOインターンの小澤です。

早速ですが、

「みなさまはオバマ氏の演説を聞いて、希望を感じましたか。」

以下の選択肢の中で、一番、自分の意見に近い選択肢を選んだうえで、何か一言(理由や感想等)を書いていただければと思います。

1、大変希望を感じた。
2、特に希望は感じない。
3、違和感を感じた。

(例)
「3」
責任の時代といわれてもどうもピンとこない。

ちなみに、オバマ氏の演説の要約はasahi.comにあります
http://www.asahi.com/international/update/0121/TKY200901200395.html
http://www.asahi.com/international/update/0121/TKY200901200395_01.html

ご意見、お待ちしております!

2009年1月15日木曜日

学生企画6

みなさんこんにちは!
学生インターンの長瀧です。
一月前半はテストとレポートで飛ぶように過ぎていってしまいました・・・

未だアップしていなかった学生企画を投稿します☆
今回は民主党のマニフェストについて。

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選挙が迫ると、各政党はマニフェストを出します。言論NPOの代表的なコンテンツのひとつとして、「マニフェスト評価」というものがありますが、このマニフェスト、見方によって本当にいろいろなことがわかるものです。
昨年の7月、民主党のネクスト大臣を何名かお呼びして、民主党の政策について問う、というフォーラムを開催することが決まり、その資料として民主党のマニフェストの時系列比較表を作成することになりました。選挙の時に各政党のマニフェストを見比べることはあっても、同じ政党のマニフェストを何年分も並べて縦に比較することはなかなかないことではないでしょうか。
私は「外交」に関する部分を担当しましたが、細かく見れば見るほど、党の政策として重視したいポイントやその方向性がどのように変化してきたのか、非常に顕著に現れていることに気がつきます。

例えば日米安保に関してのマニフェスト。
2004年の参議院選挙時のマニフェストを見てみると、2003年衆議院選挙時のマニフェストよりも内容が若干具体的になっています。
2003年に「在日米軍基地の整理・縮小を追求します。」と記述されていた部分が、2004年には「在沖縄海兵隊基地の国外への移転を目指します。普天間基地の返還については、代替施設なき返還をアメリカ側に求めます。」と直されています。
更に、2005年の衆議院選になると、日米関係に関する記述自体がそれまでの2倍の量になります。しかし、先ほどの在日米軍基地に関しては、「在沖縄海兵隊基地の県外への機能分散を模索し(中略)国外への移転を模索します。普天間基地については、早期返還をアメリカに求めます。」と、むしろ「代替施設なき」という部分についてはやや消極的な方向に修正されています。
これが2006年の参議院選挙になると、安保全体の内容が大きく変わります。これまでのような文言は一切無くなり、「国会の関与なくして、米軍のいいなりに資金を提供していくことのないよう、徹底的に問題点を追求します。」や、「アジア太平洋地域の安全保障における米軍の在り方や、在日米軍基地の位置づけについて検討します。」というような表現が多くを占めるようになります。

さて、このような変化をわれわれはどのように捉えればよいのでしょうか。
 私個人としては、2006年の民主党のマニフェストは自民党批判を中心として作成されていて、民主党としての政策理念や能動的な代替案が見られず、政権を任せるには不安な政党ではないか、と感じました。
もちろんこのような変化をどう捉え、どう投票に活かすかは有権者一人ひとりにかかっているものです。ぜひこのようなマニフェストの「たての変化」に注目してみてください!

2009年1月11日日曜日

工藤さんの訪中に同行して

こんにちは!

インターンのいけだです。寒いですね!
少々長いですが、訪中の感想文を投下させていただきます~~

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1月6日から9日にかけて、工藤さんに同行して北京に行ってきました。
今夏開催の「第5回 東京-北京フォーラム」の準備が、訪中の目的です。

勉強させられたこと、考えさせられたことは尽きませんが、全体を総括することはいつだって難しい・・
それは次回(?)の宿題にとっておくとして、今回はとりわけ印象の深い事柄をひとつ、書きたいと思います。

滞在中は日本側から中国側から、工藤さんが様々な人と話し合う場に居合わせました。
その中の一人が宮本雄二・駐中国大使でした。大使は当然のことながら多忙であり、時間は30分に限られていました。

お二人は話詰めでした。何よりもまず、大局観が一致していました。
日中の経済の減速を前に、第5回フォーラムのアジェンダを「経済危機への対処」と見る向きは少なくないようです。
しかし工藤さんにとって今回の危機は、米国中心の金融・経済システムが大きく揺さぶられたという意味で「ピンチだがチャンス」であり続けてきました。
そして宮本大使は開口一番、今回の危機をきっかけに、日本と手を組み東アジアに経済の核を作ろうという機運が中国で盛り上がりつつあると言いきりました。
お二人の視線は「ポスト経済危機」にピタリと定まっていました。

メモをとりながら、
―二人はなぜ、幼馴染でもないのにここまで気持ちが通じているのだろうか?と思いました。
「同志」の意味を、今なら漢字そのままに理解できる気がします。
30分という時間がこんなに濃密であっていいのか。
傍らで聞いている私にここまで濃く感じられる時間は、そのただ中にいる人たちにどのように経験されるのだろうか、とも感じます。

お二人が取り組んでいるのは外交です。宮本大使は公的な日中外交の最前線に立ち、工藤さんは一市民として、民間外交を仕掛けてきました。
私が生まれ育った日本の隣の巨大な国(その巨大さを、北京では物理的に感じます)、そこに住む人々との付き合いをどう良い方に変えていくか、
そしてそれを通じ、日中のに向こうにある国々・人々を含めた「世界」をどう良い方向に変えていくか、ということに二人は本気でした。
そのための手段を持っている、そして新たに創っていく力量に裏打ちされた「本気」です。

私は単純に、お二人に憧れました。
と同時に、何に魅かれるの?と尋ねられたら答えられても、何に本気なの?との問いに「今見つけようともがいています」と返してきた自分に、
もがいてなどいない、と言ってやりたくなりました。
青臭く響きますが、「今より少し先」を見て、今この瞬間に魅かれるものに賭けて来なかったということです。

それをしていこう、と素直に思いました。この日のことは忘れないと思います。