2009年8月26日水曜日

No Free Lunch

こんにちは、学生インターンのくすもとです。

いよいよ総選挙の投開票日が近づいてきました。といっても、民主党圧勝がほぼ確定したかのような報道がなされておりますが・・・。

思えば、90年代になされた一連の政治改革は、二大政党による、(派閥ではなく)党主導の政治を意図して行われたものでした。実際、ここ数年国会は自民党と民主党を中心に動いてきたわけですが、今回本当に政権交代が起こるとしたら、その瞬間は日本政治史の重要な一コマとして歴史に刻まれるのだなあ、などとしみじみ思います。が、そんな感慨に浸っているばかりにもいきませんよね。

さて、今現在の日本において、何が政策的な課題であり、そのための処方箋は何なのでしょうか。とてつもなく巨大で難解な問いであり、しかも解は一つではありません(個々の価値観などに依拠する部分ありますからね)。しかし真剣に検討すれば、耳ざわりの良いことばかりではなく、厳しい内容も大いに含まれることになるでしょう。

大規模な制度改革を行おうと思えば、ある集団は利益を得る一方で、痛みを蒙る人たちも生まれます。また、政策によってはカネが必要です。打出の小槌でもって経費を賄えない以上(そんなことしても貨幣の信認が落ちてインフレになるでしょうが)、現在もしくは将来の国民に負担してもらうしかありません。

何が言いたいかというと、物事の大半にはトレードオフがあるだろう、ということです。あちらが立てばこちらは立たず、であって、うまい話はそうはありません。そのようなトレードオフの関係にある複数の選択肢の中から、個々の有権者にとって望ましいものを選び取るのが選挙における選択です。

政治家は、本来そうしたことを語るべきなのだと思います。政策的な変革の担い手になり得るのは、最終的には民主的正統性を持つ政治セクターであるからです。反発を食らうかもしれませんが、根拠を明確して、練り上げた言葉で反論・説得をする、また「痛み」に対しても配慮を示す、そのようにして堂々と議論が行われるべきです。

しかし、現状はそれからは遠い。ムダづかい削減や官僚支配打破のような、ウケの良いことは前面に出し、一方で耳の痛いことは言えないから曖昧な表現に終始する。両党ともそのような雰囲気を漂わせています。

こうした状況をマシなものにするには、我々有権者がポピュリズム的な安易な方向に惑わされないことが必要です。ただ、偉そうなことを言う前に、政策に関する思考・判断・議論を行うための知的な基盤を自らが築かなくては話にならんなと、今回の評価作業を通じて改めて感じたのでありました。