2009年2月24日火曜日

学生企画9

こんにちは、インターンの山中です。

11月10日、麻生首相は学生との居酒屋での懇談について問われ、メニューに関して「ホッケの煮付けとかそんなんでしたよ」と答えたそうです。

しかし毎日新聞によると、その居酒屋はホッケの煮付けを出していないみたいです。僕たちの経験からでも、ホッケは干物で食べるのが一般的でしょう。しかしそもそも、ホッケとはどのような食べものなのでしょうか。首相の感覚はそこまで庶民離れしたものだったのでしょうか。

 ********

ホッケはカサゴ目アイナメ科ホッケ亜科に分類される魚であり、日本で三番目に漁獲高の多い魚となっています(農水省統計、平成20年12月)。産地もやはりイメージ通り、北海道がもっとも多いみたいです。僕もみなさんと同様、ホッケと聞くと北の荒波が心に映ります。

北海道…。
そこでは冬の厳しさが与えてくれた、忘れられない思い出が、今でも僕の胸を締め付けます。

 ********

ソーニャと出会ったのは、19歳になったばかりの、大学1年の冬。初めての札幌にかじかむ僕は、ターミナル前の綺麗な紀伊国屋で、三浦綾子を片手に文字を流し見していました。

「私も好きよ、それ」
しっとりと透き通った声に、ゆっくりと僕は振り向きました。すらっと整った肢体。雪のような肌。そしてそのはっきりとした大きな目が、僕に大切なことを語りかけてるみたいでした。

いつも昼になると僕たちは、どちらからともなく街を歩き始めました。ポプラ並木の積雪がまぶしい中、彼女がぽつりぽつりとこぼす言葉を、僕は丁寧に心にしまっていきました。世界中の大切なことは、全部彼女が纏っているような気がしました。

しかし幸福な日々はそう長くは続きません。ソーニャの帰る日は、突然にやってきました。名前があるかどうかもわからない港で、ソーニャはそっとお別れを言いました。「また会えるかな」と聞くことも、全然意味のないように思われました。

あれから四年、その後、お変わりないでしょうか。僕は、東京で頑張っています。

 *******

スーツがくたびれる、日本橋のさくら水産。気がつくとホッケの干物が、涙で元にもどされていました。