2009年11月16日月曜日

北京―東京フォーラムin大連を終えて

こんにちは。インターンの角です。
遅くなってしまいましたが、今回のフォーラムに参加した感想を分科会と視察に参加した時の事を中心に書きたいと思います。

まずは分科会の感想から。
私は日中フォーラムに参加するのは今回が初めてで、分科会の様子などはこれまでの報告書などからしか知ることができませんでしたが、分科会に参加して(私はメディア分科会で中継をしていました)、こんなにも率直に意見を言い合うことができる場があるんだということ、また、そこに一般の人も参加できるチャンスがあるということに、感動といっては大げさかもしれませんが、かなり驚きました。
メディア分科会の後半では、日本側と中国側のパネリストやフロアの方々がお互いにかなり活発な意見交換をしていて、自分は「え、それって結構デリケートな質問じゃないの?」って思うことも、ストレートに質問している方もいました。でもよくよく考えてみると、疑問に思うことをぶつけるということは、普段の人間関係に置き換えてみてもわかるように、お互いを本当の意味で理解するのにはすごく必要なことです。ここで議論を交わしている方々は真剣に日中お互いのことを理解し合おうと思っている方々で、そういう人たちが集まって本音で議論できるこのフォーラムはすごく貴重な場なんだろうなと実感しました。
また、フロアから、全体会議の同時通訳をしていた方が手をあげて感想を述べる場面がありました。その方は同時通訳なのにかなり日本語がたどたどしかったのですが(普段は観光などの通訳をしているとのことでした)、必死にパネリストの方々に自分が議論を聞いていて感じたことを伝えようとしていて、またパネリストの方々もそれに耳を真剣に傾けていました。一般の人の思いががこんなにダイレクトに有識者の方に伝わる、そんな場は他にないんじゃないかと思いました。
そして、こういうこと実際に肌で感じられたことをすごく嬉しく思いました。貴重な経験だったと思います。


次に、視察に同行した感想を。
私は先に記事を書かれた楠本さん、石田さん、河野さんとは別行動で11月3日には視察に同行しました。大連ソフトウェアパークや、203高地、東鶏冠山に行きました。
大連ソフトウェアパークには、日本の企業が多く進出していて、しかも中小企業もかなり多いという説明をうけました。自分の中の勝手なイメージでは中国に進出しているのは大企業という感じだったので、少し驚きました。同時に、それだけもう現実のレベルでは日中の関係は進んでいるのだということを実感しました。そして、その割には日本人は中国に対してそこまでの親しみを感じていない、ということとのギャップを改めて考えさせらました。
203高地や東鶏冠山は日露戦争の傷跡がまさにそのまま残っていて、これはかなり自分にとっては結構衝撃でした。もちろん日露戦争があったことは知識として自分の中にあるはずなのに、見た時になんともいえない感じがしました。
それはもしかしたら自分の頭の中で「日本」と「戦争」というのが、実感する、というレベルではこれまで結びついてこなかったからかもしれません。広島で原爆ドームを見たこともあるし、長崎や沖縄に行った事もありますが、どちらかというと日本が被害者という立場で戦争のことを考える機会が多かったように思います。
今回の視察で見たのは日露戦争の跡ですが、日本も他国に攻撃をしたことがあるのだ、ということを頭で理解するのではなく、ちゃんと実感のレベルで理解したのは今回が初めてだったと思います。


今回のフォーラムでは普段は絶対に経験できないようなことばかり経験させてもらったので、これをちゃんと自分の糧にしていかないといけないな、と思います。

2009年11月13日金曜日

おもしろい商品を紹介するテストです。

どうもこんにちは。
学生ブログをbloggerするのに結構な時間をかけてしまったいがらしです。

このブログは多機能みたいで、いろいろとやってみたくなります。そしてこれからはこのブログで、学生のお勧め書籍を紹介するコーナーも設けようということになりました。言論NPOの学生インターンたちは非常に知識豊富で、素敵な本を紹介してくれるのではないかと思います。え・・?自分(いがらし)はあまり知的な本を読むとすぐ寝てしまうので、動物の写真集とか紹介しようと・・だめですか?いいですよね。そういう人がいたっていいですとも。


さて、今回紹介する書籍は、ロバート・B・チャルディーニ著「影響力の武器」です。

人間の本能的な部分に働きかけ、交渉において相手を自分のペースに乗せるのがセールスの極意である!その鍵となる「影響力」を今回はご教授いたしましょう!

と書くとどうも胡散臭いのですが、だいたいそんなかんじです。ただしこの本はあくまで消費者視点で書かれていて、「影響力を利用して交渉を展開してくる相手から、いかにして身を守るか」を教えてくれます。


例えば第三章で紹介されている「コミットメントと一貫性」は、

『ココアはやっぱり○○』 ←○○を答えて海外旅行へ行こう! ※例題です。

という、一見クイズとして成立していないクイズに何の意味があるのかを教えてくれます。


どうもセールストークに乗せられてものを買ってしまう、という方にはぜひともこの本を読んでもらいたいと思います。しかしハードカバーの高い本なので、図書館で借りるのが賢明かもしれません。


2009年11月9日月曜日

北京-東京フォーラムin大連に参加して

どうも、インターンの河野です。
大連の寒さをナメてコートを持って行かなかった結果、おおいに現地で後悔したのが懐かしいですw


 「北京-東京フォーラム」に参加したことでさまざまなことを感じましたが、「実際に政治家の言葉や中国側の発言」を聞いて、とりわけ、政治の言葉の「重さ」と外交においての民間からの動きの重要性について考えさせられました。


 政治・政治家について普段ぼくたちが感じているイメージは権力・カネ・不信・無力といったようにマイナスなものが多いと思います。選挙のときなんかも「どうせそう言ったら当選しやすいとでも思ってるんだろ」とさえ思うこともあります。僕もそんな感じで見ていました。
 しかし、全体会議での渡部恒三氏の発言をその場で実際に聞いて、その場の雰囲気を変える話し方という技術的なことから、渡辺氏が中国に対して友好的なメッセージを送ったというそれ自体まで、「これはすごい」と思いました。政治・政治家の言葉には重みがあり、それはなにかを変えることにつながる。そしてそれは、実際に聞くことで痛感できる。そう感じました。


 また、国内で「政府の限界」が叫ばれ市民の参加が重要となってきているのと同様に、安定的な国際関係において関係を改善していくためには市民の参加が重要だと感じました。政府間の対話ではともすれば国益や面子のぶつかりあいとなり議論が進まないことが多々あると思います。それに対し、民間の対話、とりわけ経済対話や地方対話は大いに協調できる可能性を持っています。直接的・即効的に政府間関係を改善させることにつながるとは限らないし、そんなことは少ないと思いますが、国民レベル、自治体レベル、企業レベルでの関係改善は徐々に政府間の関係改善につながっていくと思います。そして真の友好関係はそういった方法でしか構築されないでしょう。
 僕は分科会「安全保障対話」に参加したのですが、もっとも対立を生みやすいと思われる安全保障の分野においても、協力しようという動きが確実に生まれていると感じました。確かにガス田などの問題では激しい討論がなされたものの、安全保障の意味を大きくとって麻薬や人身売買、マネーロンダリングなどに対して協力して対策を講じることができるのではないかという内容が話し合わされました。このことの意味はとても大きいと思います。


と、いうことでまだまだ自分のなかで考え、まわりの人に伝えていかないといけないこともあると思いますが、今日のところはこの辺で。

2009年11月7日土曜日

北京ー東京フォーラム in 大連が終わって…

4日が経ちました。インターンのイシダです☆わたしが大連に滞在したのは4日間、フォーラムで議論が行なわれたのは実質2日間と短い期間だったのですが、中身が濃かったせいか、一週間くらい大連にいたような気がします。
フォーラムに参加してみて、はじめて中国に行って、いろいろ感じるところ、考えるところはあったのですが、今回はわたしが参加した分科会「地方対話」で考えたことと、インターンがフォーラム中何をしていたかを少し紹介したいと思います。これはわたしが個人的に思っていたことなのですが、インターンが具体的に何をするのか、何ができるのか、が言論NPOのサイトを見てもよくわからないので、インターンに応募といってもしづらいんじゃないか…と。(わたしはものぐさなので、インターン募集が気になりつつも、数ヶ月間放置していました。。汗)このブログを未来のインターン候補(?)が何人見てくれるのかはわかりませんが、少しでも参考になればと思います。

毎年フォーラムにあわせて日中世論調査が行なわれていますが、残念ながら5年経っても両国民の相手国イメージは改善していません。この結果は「地方対話」でも話題に上りました。これに対し、山田啓二京都府知事は、こうした「厳しい事態を打開する大きな原動力になるのがこの地方対話ではないか」と述べ、「地方は具体的、実体的な行政を担い、生活に肉薄した交流がある」と強調しておられました。
わたしなりに咀嚼すると、実際に生身で相手国の人や文化と交流してみない限り、一旦相手国に対し持ってしまったネガティブなイメージはなかなか消えないということではないか、と思います。むしろ、実際のふれあいがなくて、相手に対するイメージが抽象的・漠然としているからこそ、5年間で日中では政治的・経済的関係において様々な変化があったにもかかわらず、世論調査での相手国イメージは改善しないまま、固定的なままなのではないか。そして、鳩山首相が「東アジア共同体」構想を打ち出し、せっかく日中友好の機運が高まっているのだから、両国間でもっともっと具体的な、身近な交流を増やし、固定的な「中国」観、「日本」観とは違った相手国イメージを持てる場を増やしていこう、そのために地方行政という身近なレベルでの交流が有効だ。「地方対話」でひとつ大きな論点になったのは、こういうことだったんじゃないかと思います。
普段の生活でも、「話してみないとわからないもんだなー」と思うことってあるわけで、わたしはとても説得的な話だと思います。「東アジア共同体」がトップダウンで日中(アジア)の交流を深めていくことであれば、逆に地方からボトムアップで交流を深めていければ、相乗効果がうまれるのではないでしょうか。対韓国イメージの20年間の変遷を考えれば、対中国イメージが今後改善していくことも不可能ではないはずです。
と、いうのがわたしが議論を聞きながら考えたことの一部です。最後に少しインターンの活動の報告を。インターンの主な仕事は、会場で受付のお手伝いをすること、会議では隅の方で議論の速記をし、チャットで東京に送り、議論終了後は各会議の報告記事を書くことでした。記事はフォーラムの公式サイトに掲載されています。議論の速記は、東京の事務所にいるスタッフ・インターンがまとめて速報としてサイトにあげてくれたり、twitterで一部つぶやかれたようです。(中国ではtwitterにはアクセスできませんでした…ふ)
工藤さんが「パネリストも参加者もスタッフもインターンもボランティアもみんな参加しないとフォーラムは成功しないんだよ」というようなことを仰っていたのですが、こういう大きなフォーラムで、単なる学生でも、ひとりひとりに任されている「仕事」があって、「お手伝い」ではなく「一員」として働いている、と実感できることはなかなかないと思います。てんやわんやで大変なこともたくさんあるわけですが、なかなかできない経験ができたことと、「成功してよかった」という充実感は、苦労(?)と引き換えにしても余りあるものだと思います。(わたしは今回は自分が大変だと思うことは特になかったのですが。)
さてさて長くなってしまいましたが、今回はこんなところで。まだフォーラムが終わってから4日しか経っていないことだし、これからこの経験について、議論についてゆっくり考えたいと思います。それから、インターン募集の説明会に来てくれる人は、このブログを読んでいるかもしれないので、また機会があったら、インターンの活動についても書ければいいなと思います。(というか他のひとも書いてくれないかな。。)では☆写真は散歩に行った時に撮った大連銀行のモニュメント?です。スタバのタンブラーの大連バージョンでも使われていました。夜はキレイでしたよー

北京-東京フォーラムを終えて

 どうも、インターンのくすもとです。今回書くのは、先日大連にて行われた第5回北京ー東京フォーラムについてです。

 フォーラムにあたっては言論NPOのスタッフだけでなく、僕たち学生インターンからも数名が渡航して参加しました。学生の担当は主として議事録や記事の作成で、議場でパソコン開いてカタカタ、控え室に戻ってまたカタカタ・・・とやっておりました。正直、食事と睡眠が十分に取れるか心配だったのですが、思ったよりも大丈夫でしたね。少なくとも生存には全く支障ありませんでした(笑)

 さて、僕達は日中間の議論に直に接するという幸運な経験を出来たわけで、それに際して感じたことを少々書こうと思います。予定が狂って慌てたり、トラブルが発生したりと(今にして思えば)中々面白いエピソードもあるのですが、それはおいといて、と。

 僕個人としては、要約するならば、日中関係の可能性、広がり、難しさ・・・そうした諸々のことを改めて痛感した、というのが感想でしょうか。


 僕は全体会議に加えて、分科会の一つである「経済対話」に出席しました。ビジネスの世界ではWin-Winの関係を築ける部分が大いにありますし、そうしたものは民間ベースでこれからもどんどん進んでいくことでしょう。しかし、「アジア共通通貨」などというのは、普通に考えれば超長期の話で、それが何がしかの具体的な前進を見せることは想定しにくい。現状のアジアにおいて、EUのように一国内での金融政策の独立性を放棄することはどう考えても不可能です。

 ビジネスや経済の発想でいけば、常識的にはそうなるのですが、今回のフォーラムにはまた違った意味合いが付加されました。言うまでもなく、鳩山政権の「アジア共同体」構想です。

 もちろん、「構想」と言っても中身がないではないか、という批判は容易ですし、僕自身もそう思わないことはありません。ですが、今回のフォーラムでは、その「アジア共同体」への言及が、そこここに見られました。そして、具体的なレベルでの相違はともかくとして、日中で協力してより良いアジアを築く、というムードが強く見られたのも事実です。

 松本健一氏が仰っていたことですが、政治がこうした言葉を初めに打ち出すことの意味は小さくない。頭ではそんなものと思っていましたが、実際に議場に身をおいて、それがリアルに感じられました。そしてこの先は、「この分野では協力できるけど、こっちの分野では難しいね。」「まだ立場に差があるね」ということで対話を終わらせず、政治が打ち出した言葉をどう具現化していくのか、というより真摯な議論が必要になってくるのだと思います。そうした大構想について、どのような言葉で語るのかが、日本側にも問われてくる。そして、結局言葉を発するのは個人なのですから、それは僕達自身の問題だというわけです。

 重い課題ですが、アジア地域の重要性が今後減衰することは考えにくいわけで、どうあがいても問題になってくるのでしょう。貴重な示唆を得たと思います。